産業領域・メンタルヘルスの分野で、近年注目されているブリーフセラピー。
前から興味があったのですが、初めて講座を受けました。
悩んでいる人の話にじっくり耳を傾ける「傾聴」はすべてのカウンセリングの基本ですが、ブリーフセラピーは傾聴の先をめざします。いってみれば何が問題の本質なのかということには焦点をあてません。
精神分析のように悩みの根深い問題に焦点をあてると、解決は難しくカウンセリングも長期間に及びます。
生育環境や過去のトラウマは簡単に変えたり克服したりできないからです。
今ある状態からどうなればもっと症状がよくなるか?クライエントとのやりとりを通じて、現実的でわかりやすい切り口で対応策を探ります。
具体的には1)視点を変える 2)うまくいっていたときの例外を探す
3)問題をあえて続けさせる など
アプローチを具体的に絞っていくので効果がある一方、やりかたや方向性を間違うとリスクもあるので、セラピストの熟練の技術と経験が必要です。
正直にいうと一日講座を受けただけでは全体像をよく理解したとはいえません。ただ面白い例え話があったので、アレンジしてお伝えします。
次の画面を見てください。どちらの女性に好感を持ちますか?
実は同じ人物を違う見方で表現したもので、女性はシンデレラを指します。
母親や姉たちから虐げられながら働くシンデレラが、魔女の助けを得て舞踏会へ行き、王子と出会い、ガラスの靴を忘れ、最後に結ばれるというおとぎ話。
けなげで一生懸命だと同情するか、ガラスの靴を脱ぎ落した事実に注目するかで評価ががらりと変わってしまいますね。人の評価はどこに価値を置くかで同じ登場人物でも変わってしまいます。
ブリーフセラピーも同じように、視点の変換をクライエントにうながしていきます。
私がこれまでイメージしていたカウンセリングは「信頼できる人と一対一の安心できる空間で本音を聞いてもらう」というものでした。
カウンセリング室の中で考え方・感じ方が前向きに変化するのです。
一方、現実の社会は厳しく、カウンセリング室だけが安心できる場所というのでは、実際の生活では難しい場面もあるでしょう。
ブリーフセラピーでは面接外で変化が起きるという点が特徴的です。
表情や行動、考え方など目に見える変化が期待できるという点で、即効性を求める企業や産業分野で期待感が高まっているというのもうなづけます。
もともとは貧困家庭やDVという深刻な問題を抱える家庭を対象にした福祉分野で発生したものだそうです。問題そのものに焦点をあてず、少しでも症状を楽にするために現実的な手法を取り入れるブリーフセラピー。創始者はエリックエリクソン。さっそくアマゾンで関連する本をぽちりました。届き次第読みたいと思っています。世界は知らない事ばかり…
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