「交流分析」が面白い!

テレビ記者38年。廣瀬祐子です。こんにちは。きょうは心理分析の話です。

カウンセリングの勉強を始めた4年前に「交流分析」が面白いと感じてはいましたが、基本講座を受けただけだと自分の自我状態(子供・大人・親))について意識するくらいで終わりました。(私は自分勝手なガキだな…とか)

今回、友人に勧められて深く学ぶ講座を受講。北九州市小倉に新幹線で通い、3か月間で全12回の講座を修了しました。   

交流分析はユダヤ系カナダ生まれアメリカ育ちの精神科医・エリックバーンがフロイトの精神分析をより実践的でわかりやすく、心理療法向けに開発した独自理論です。自分の感情や行動を客観的に分析し、他者との関係を改善させ、自身の自律的な生き方を追求します。

交流分析の用語は馴染みがなく理論も奥深いので完全に理解したとは全くいえませんが、自分なりに「なるほど!」と腑に落ちた事はと言えば… 最も重要だと思った概念は “I am Ok.  You are Ok”です。私は大丈夫あなたも大丈夫。自己も他者も同時に尊重する姿勢です。

カウンセリングの講座でも相手を「ありのまま受け止める」というのはさんざん指導された事ですが、これほど日常生活で実践が難しいものはありません。 価値観や意見の違う相手に対しては説得を試みたり、うまくいかないと不信感を募らせてしまいがち。相手の言い分が間違っていて自分の方が正しいと思いこんでしまいます。特に年齢を重ねると、自分の経験値からこだわりが強く視野が狭くなります。
日常生活で I am OK. You are not OK. となってしまうのです。物事を批判的に捉える癖がついてしまった私は特にその傾向が強いと自覚しています。過去を振り返っても苦い経験が山ほど。今更ながら深く深く反省です。

どうすればよいかと言えば、考え方の違う人には「ふ~ん。そういう見方や考え方もあるよね~」。と一旦相手を認めることにつきます。おそらく無理だと思っても「やめたほうがいい」とは否定せず、「とりあえずやってみよう!」 自分は大丈夫だけどあなたも大丈夫。もしできなかったら?それで良い。次からできるようになればいい。失敗するから人間なんだという考え方です。

交流パターンを知る

交流分析では自我状態を親=(厳しい親と優しい親) 大人=(冷静) 子供=(自由・服従) の3つに分類し、自分のどの自我状態から相手のどの自我状態に向けてメッセージを発信しているのかを分析します。それぞれの自我状態には肯定的な面と否定的な面があります。
やりとりされる交流を ①相補的交流②交差的交流③裏面的交流の3種類に分類します。           

相補交流

相補交流はお互いに期待した反応が返ってくるもので、そのため延々に続きます。


<相補の事例その①>うまくいくケース

大人(の自我状態)「何時に起きましたか?」
大人「6時です」
大人「早起きですね」
大人「朝早いと気持ちがいいです」

期待通りの答えが返ってくる反面、マイナス面は一方的な説教が続くこと…


<相補の事例その②>行かないケース

親(の自我状態)「今何時だと思っているんだ?」
子供「すみません、電車が遅れてしまって…」
親「万が一に備えてもっと早く家を出るべきだ」
子供「はい、うっかり寝過ごして・・・」
親「なんで寝過ごしたんだ?お前は…(がみがみ)」


交差交流

交差交流では話が噛み合わないため、会話は中断されます。が、話題を転換する際に有効です。


<交差の事例その①>うまくいくケース

親(の自我状態)「なんで遅れてきたんだ?」
大人「それより早く会議を始めましょう。資料は用意してあります」
大人「そうだな。そうするか」(親の自我状態から大人に変換)


<交差の事例その②>いかないケース

親(の自我状態)「なんでもっと早く言わないんだ?」
親「あなたが聞く耳もたなかったんでしょ!」
親「お前が言わないのが悪いんだ」
親「悪いのはそっちでしょ!いい加減にして!」(互いに批判しあう)

このように夫婦喧嘩では互いが親の自我状態となりがみがみ言い続けることも…


裏面交流

表面上の言葉と裏の感情が違う場合のやりとりが裏面交流です。 相手の裏の感情に気づいてうまく対処できるとよいですが、逆の場合もあるので要注意です。


<裏面の事例その①>うまくいくケース

部下「きょうは残業があるのでしょうか?」
  (本音の感情→疲れていて早く帰りたい…)
上司「(感情に気づいて)「どうしたの?何か困った事があるの?」

相手の裏の感情に気づくとコミュニケーションが取れる場合があります。


<裏面の事例その②>いかないケース

妻「○○さんの旦那出世して娘も合格したらしいわよ」
(妻の本音の感情→うちとは大違いね)
夫「良かったね。奥さんもいい人だから」
(夫の本音の感情→奥さんが良いから。うちとは大違い)


交流分析では裏面交流は必ず相手にメッセージが伝わるとしています。

表面上の言葉と別の意味を含む嫌味やあてこすりを言われるとその人の本音が伝わってきて、受け取る側はすっきりしない気持ちになりますね。お互いに自分の気持ちは誠意をもって正しく相手に伝わるようにしないと不毛なゲームに突入します。
不毛な言葉のやりとりで最後は互いに不快な感情で終わる交流ゲームと呼んでいます。ゲームには何種類もあり、陥る原因もさまざまですが、私の場合は ”I am OK.You are OK” が出来ていない時にゲームに陥りやすいと気づきました。たとえば知人から悩み相談を受けた時に、つい良かれと思ってあれこれアドバイスをしてしまい「イエスバット」ゲームに陥ってしまいます。


<YES,BUTゲームの事例>

A 最近運動不足で太ってきたのよ。どうすればいいと思う?
B まず食事を変えてみたら?鳥のささ身とかタンパク質を多めに。
A 良いけど…私鶏肉好きじゃないの。
B じゃあ炭水化物を減らすとか
A 良いけど…炭水化物が大好きだから無理だよ。
B 隙間時間に運動するとか?歯磨きしながらスクワットとか
A 出来ればいいけどね。子育て中に隙間時間なんてないわよ。
B 朝起きてすぐにストレッチとか?
A 朝は子供の世話があるのよ。私は暇じゃないの。もう結構よ。(役に立たないわね)
B あ、そう。(せっかく考えたのに)

…というのが典型的なYES、BUTゲームです。笑

ゲームからの脱却

それではどうすればゲームから脱却できるのかといえば。方法は以下の通りです。

  1. 期待される応答をしない 相手を助けようとしすぎない
  2. 相手の主張に反論しない 「そういう考えもあるね」
  3. 自分のことを責めない。(私も頑張った!)
  4. 決めるのは相手であることを忘れずに。「あなたはどうしたいの?たとえば?」と話題を変える

交流分析とは何か 最後に

交流分析は他にもラケット感情とかストロークとか人生脚本などテーマが沢山あり、奥深いので一度には書ききれません。 交流分析の最終目標は自分の思考の癖やゆがみに気づいて、凝り固まった価値観を緩め、自分がどう生きていきたいのか人生脚本を手直ししていくことにあります。理解をさらに深めて別の機会にまとめたいと思います。

ちなみに夫婦間のやりとりはゲームになりやすいので、相手の弱いところを突く習慣は手放します。私は早速夫との日常会話が相手をやりこめる不毛なゲームになっていることに気づいてそれをやめることにしました。
「あなたの言う通りだった、教えてくれてありがとう。ごめんなさいね」
すると…
「いや俺も悪かった。ごめん」
効果抜群!人生の基本は「ありがとう」と「ごめんなさい」なんだ。人生の終盤を迎えた今になって痛感する今日この頃です。

参考文献

交流分析の本の中では分厚いですが基本の教科書

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ABOUTこの記事をかいた人

日本テレビで記者職を34年。その後討論番組を担当し、今年1月に 定年退職しました。これまでの経験を生かして働く女性の悩みに答えて 少しでも助けになればと思っています。よろしくお願いします。